三重県の女性弁護士 田中三貴 (三重弁護士会)トップ >>

ようこそ、弁護士 田中 三貴(たなか みき)のブログへ

日々思ったこと、皆様のお役にたてる情報などを書いていきたいと思います。

お時間のある時に、覗いてくださいね。


私が所属する「弁護士法人心 津法律事務所」のサイトはこちらです。


相続放棄の起算日

相続放棄の相談を受けていると、

「いきなり市役所からあなたがAさん(父親)の相続人ですみたいなことが

書かれた書類が届いた。でも、両親が離婚後、父とは会っておらず、

死んだことをこの通知で初めて知りました。

滞納している税金を支払わないといけないのでしょうか。」などという

話を年に何回も聞いたりします。

両親が離婚し、その後ずっと連絡をとっておらず、

死亡したことも知らなかったということは、

離婚件数が増えている昨今では珍しくもないのかもしれません。

亡くなった方(被相続人)の負債を負わない手段の一つとして、

「相続放棄」の手続きをとることが考えられます。

ただ、相続放棄をするためには期間が制限されています。

ネットなどで調べてもらうと「3か月」の文字を目にすると思います。

そこで「3か月」という数字だけをみて、「亡くなったのが3か月以上も

前のことなので、相続放棄できないんですよね?」と

聞いてくる方もいらっしゃいます。

ここで注意が必要です。

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」から

「3か月」以内にする必要があります。

「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」というのが

重要になります。

上記の例でいえば、ずっと連絡をとっておらず父が亡くなったことも知らず、

市役所からの通知で父が亡くなったことを初めて知ったのであれば、

通知を受領し日が「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」

となり、通知を受け取ってから3か月以内であれば相続放棄が受理される

のです(ほかに相続放棄の受理を妨げる事情がない場合)。

ですので、死亡してから3か月が経過していても、

相続放棄ができるケースがありますので、早合点せず、

まずは弁護士等にご相談ください。

 

202309ナナちゃん人形.jpg

先日また紛争処理センターに行ってきました。

ナナちゃん人形の衣装が先月と変わっていました。



紛争処理センターに行ってきました

先日、あっせん申立を行った案件で、

名古屋の交通事故紛争処理センターに行ってきました。

交通事故紛争処理センターとは、

交通事故の被害者と加害者(加害者側の保険会社)との示談に関する

紛争を解決するため、中立的な立場から両社の間に入って、

解決にむけてサポートしてくれる機関です。

センターの所在地は限られており、残念ながら三重県にはないため、

三重県に一番近い名古屋に行ってきました。

 

紛争処理センターは、被害者と加害者(保険会社)との間で示談ができる

段階になってからでないと利用することができません。

ですので、以下のケースの場合は、利用することができません。

 ・通院・治療中の場合

 ・後遺障害等級認定手続き中の場合

 ・すでに示談が成立している場合

また、あっせん利用申し込みの時点、すでに民事裁判や民事調停など

他の紛争解決手段を用いている場合にも利用することができません。

さらに、後遺障害等級認定や有無責等に関する紛争の場合も

利用することができません。

 

上記のように利用できないケースもありますが、利用できる場合には、

以下のようなメリットもある手続きです。

 ・手続きが無料で受けられる

 ・解決まで、裁判するより早い場合が多い

 ・中立的立場の提示が得られる

 ・保険会社は審査結果(裁定)の判断に拘束される

 

20230807ななちゃん人形.jpg

写真は、名古屋に行った際に撮影した、ナナちゃん人形です



民法改正・嫡出推定制度の見直し

来年(令和6年)4月1日から、改正された民法が施行されます。

主な内容としては、

①嫡出推定の変更

②嫡出否認の訴えの変更

③再婚禁止期間の廃止        です。

 

①嫡出推定制度の変更

現行の制度では、離婚から300日以内に生まれた子どもは

前の夫の子と推定されます。

そのため、母親が出生届を出さず、戸籍のない子が生じるなどの

問題がありました。

そこで、婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、

母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、

再婚後の夫の子と推定することとされました。

 

②嫡出否認の訴えの変更

これまで、嫡出否認権は夫の身に認められていました。

改正民法では、子および母親も、嫡出否認の訴えを提起することが

できるようになります。

また、嫡出否認の訴えの出訴期間は、これまで1年とされていましたが、

改正民法では3年に伸長されました。

 

③再婚禁止期間の廃止

現行、女性には、離婚から100日間の再婚禁止期間が設けられています。

この期間が設けられたのは、父親が重複する可能性があったためです。

改正民法では、この再婚禁止期間が廃止されることとなりました。

嫡出推定規定の変更に伴い、父親が重複する可能性がなくなったためです。

 

202307伊勢門.jpg

少し前の週末になりますが、仕事関係での方々とのランチ会。

津市にあるお店でいただきました。



離婚調停や破産手続もオンライン化

今月6日、改正民事執行法が衆院本会議で可決・成立しました。

この改正は、離婚や遺産分割といった家事調停や、

破産手続きなど裁判以外の手続きを

オンラインで可能にするといったものです。

破産申立は、従来は書類を郵送するといった方法でしたが、

今回の改正で、インターネットによる申立が可能になるということです。

弁護士ら代理人には、オンライン利用が義務付けられることとなりました。

裁判所からの送達もメールで通知し、

電子ファイルのダウンロードを求める形にするようです。

昨年5月に成立した改正民事訴訟法では、

民事裁判の提訴から判決までのオンライン化が決まっておりました。

改正民事執行法により、民事手続き全体に、

オンライン化が拡大したことになります。

 

オンライン化に対応できるようにしなければならないとは思いますが、

私はいわゆる機械音痴なので、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。

つい先日のWEB期日において、

こちらの画面では相手方らの姿は見えており、

カメラも正常に起動していたのですが、

三者のうち一者だけが音声は聞こえるものの画面が見えないといった

事態が発生しました。

オンライン化・WEB期日は便利にはなるとは思いますが、

このようなことがあると不安を感じてしまいます。

とはいえ、決まってしまったのですから、

頑張って慣れていくしかないですね。

 

202306バラ.jpg



債務整理したいが車のローンが残っている場合

債務整理の相談を受けていると、

「車をローンで購入しまだローンが残っているが、

車を取られると生活に支障をきたすので、車を残したまま自己破産したい」

とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。

 

ローンつきの車を残したまま、債務整理をすることはできるのでしょうか。

以下は、車をローンで購入し、車両名義がローン会社やディーラー名義に

なっているケースを前提に記載していきます。

(銀行などのマイカーローンで、車両名義が自分のケースは除きます。)

 

債務整理の方法は、主に3つあります。

任意整理・個人再生・自己破産、といった3種類です。

 

任意整理の場合、どこの債権者を対象とするか選択することができますので、

車のローン会社を任意整理の対象から外し、

従前どおり(ローン契約どおり)支払いを行っていけば、

車両の引揚げとなることはありません。

 

これに対し、個人再生や自己破産の場合債権者平等の観点から、

車のローン会社を債務整理の対象から外すことはできません。

そのため、個人再生や自己破産の手続きを行おうとする場合、

車のローン会社も債権者として対象にせざるを得ませんので、

車両が引揚げられることとなり、車を残すことはできません。

 

私自身も三重県に住んでいると公共交通機関の便があまり良くないと

感じたりするので、車がないと生活が不便ということは理解できます。

しかしだからと言って、ローンが残ったままの車両を手元に残しつつ

自己破産手続きを行うことは難しいですので、

ご理解いただければと思います。

 

202305.jpg

 



民法改正(相隣関係・竹木の枝)

1 土地所有者による枝の切除

 「隣の家の木が、自分の家まで伸びてきて困るから何とかしたい」

 といった相談を受けたことが何度かあります。

 この点に関し、今月1日施行の民法において改正がなされました。

 

 これまでは、隣地の竹木の枝が境界線を越えてきても、

 その竹木の所有者に枝を切除してもらう必要がありました。

 すなわち、境界線を越えて伸びてきた枝があっても、

 伸びてきた枝の土地所有者は自ら切除することが出来ませんでした。

 竹木の所有者が枝を切除しない場合には、

 訴訟提起をして、切除を命じる判決を得て、

 強制執行の手続きを取らざるを得ませんでした。

 枝が境界線を越える度に、竹木の所有者が枝を切除しない場合、

 このように訴訟提起をする必要があったのです。

 しかし、これではかなり面倒ですし、

 訴訟提起のたびに費用がかさんでしまいます。

 

 改正民法では、竹木の所有者が枝を切除する必要があることを

 原則としつつも、以下の場合には、

 土地の所有者(枝が越境された土地の所有者)は、

 その枝を切除することができるとされました(民法233条3項)

  ⑴竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、

   竹木の所有者が相当期間内に切除しないとき

  ⑵竹木の所有者を知ることができず、

   又はその所在を知ることができないとき

  ⑶急迫の事情があるとき

 

 切除に要した費用については、

 枝が境界線を越えて土地所有権を侵害していることや、

 土地所有者が本来負っている義務(枝の切除をする義務)を免れている

 ことなどから、竹木の所有者に請求できると考えられます。

 

2 共有者による枝の切除

 従来の場合、竹木が共有されている場合、

 竹木の共有者が越境した枝を切除しようとしても、

 変更行為として共有者全員の同意が必要とされていました。

 

 改正民法では、各共有者が越境している枝を切除することができる

 とされました(民法233条2項)。

 これにより、竹木の共有者の一人から承諾を得れば、

 枝が越境された土地の所有者などが

 共有者に代わり枝を切除することができます。

202304桜.jpg

三重県内でもそろそろ桜の見ごろが過ぎてしまいました。

今年は、いろいろな花の開花が早い気がしますね。



過去にも債務整理していますが...

債務整理の相談を受けていると、

「過去にも債務整理を行ったことがあります」という方が

増えてきているような気がします。

以前は、たまにいらっしゃるかな、という感覚だったのですが、

最近は月に数件というペースになってきています。

 

過去の債務整理といっても、人によりさまざまで、

自己破産の方、個人再生の方、任意整理の方がいらっしゃいます。

以前に自己破産と個人再生(給与所得者等再生)を行ったという方は

特に注意が必要です。

 

確かに、自己破産には、回数制限がありませんので、

2回目の破産であっても手続きを行うことは可能です。

しかし、例えば、以前自己破産した方が再度自己破産を行う等とした場合、

免責許可が得られない可能性があります。

破産法は、

免責許可の決定確定の被から7年以内に免責許可の申立があった場合、

免責許可を受けることができない、と定めているからです。

また、仮に7年が経過していても、前回と同じ理由での破産原因であれば、

免責を許可するか否かの判断において厳しい目で見られることとなります。

ケースによっては、2回目の破産の場合には、同時廃止手続きではなく、

破産管財手続になることもあります。

 

チーズケーキ.jpg

先日、依頼者様からチーズケーキの差し入れをいただきました。

三重県鳥羽市にあるホテルのチーズケーキです。

スタッフとともにいただきました。ありがとうございました。



婚姻費用分担請求

婚姻費用とは、夫婦と子が、その収入や財産などに応じて、

通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことを言います。

同居している場合には、問題となるケースは少ないかと思います。

ただ、夫婦が別居した場合、問題となるケースが出てきます。

 

この婚姻費用には、衣食住のほか、出産日、医療費、未成熟子の養育費、

教育費、相当の交際費などのおよそ夫婦が生活していくための必要な費用が

含まれていると考えられています(裁判所HPより)。

 

別居中の夫婦の間であっても、婚姻費用の分担義務はあります。

そこで、当事者間の話し合いで婚姻費用を決めることもありますが、

話し合いがうまくいかないケースがあります。

そのように話し合いがまとまらない場合には、

家庭裁判所に婚姻費用の分担調停を申立てます。

 

調停手続きでは、主に収入などについて当事者双方から事情を聞いたり、

資料を提出したりして、金額について話し合いをしていきます。

調停はあくまでも話し合いでの解決を目指す場ですので、

当事者双方の合意がなければ、調停が成立することはありません。

もし、調停が不成立となった場合、婚姻費用分担請求事件の場合は

審判手続きに移行し、裁判官が審理を行い、審判を下すこととなります。

 

椿大神社・手水舎.jpg

三重県鈴鹿市の椿大神社の手水舎です



交通事故における過失割合

当弁護士法人では、本日が仕事始めです。

今年もよろしくお願いします。

 

昨年、交通事故相談を受けていて、誤解があるのでは?と感じたのが、

過失割合に対する認識(?)について。

例えば、赤信号で停車中に後方から追突事故に遭った場合、

過失割合の話を保険会社からされることはまずないでしょう。

これに対し、出会い頭の事故などの場合には、過失割合が問題となります。

過失割合は、自分の損害額に影響を及ぼすだけでなく、

相手方の損害に対する負担も発生することになりますので、

示談する際には重要な項目の1つと言えます。

ただ、この過失割合について、誤解されているのではないか?と

思われることが昨年中に何度かありました。

この過失割合、警察が決めるわけではありません。

当事者(保険会社)と話し合ってきめたり、

協議がつかない場合には訴訟提起をして裁判所(裁判官)が

判断することとなります。

相談時などでよく「警察から自分は悪くない、と言われたんだから、

自分には過失はない」とか、

「相手方は刑事処分を受けたんだから、相手方が悪く、自分は悪くない」と

お話される方がいらっしゃいます。

しかしながら、上記のとおり、警察が過失の有無や割合について

決めるわけではありません。

過失があれば刑事処分が下されることがあります。

ここでいう過失とは、全面的に悪いことが前提ではありません。

極端に言えば、過失割合が1:9で過失が1しかない場合であっても、

1割でも過失があれば、相手方の怪我の状況など刑事処分を

下されることがあるのです。

そのため、警察が悪くないと言ったとか、

相手方が刑事処分を受けたといった事情をもって、

自分が過失ゼロということにはなりませんので、ご注意ください。

 

2023初日の出ー.jpg

初日の出



相続放棄と光熱費の支払い

最近、相続放棄の相談が増えてきたように思います。

相続放棄の相談をしていると、

「未払いの電気代の請求が届いていますが、支払った方がいいですか?」

と聞かれることがあります。

 

相続放棄をするうえで気を付けなければならないのが、

「単純承認」に該当する行為を行わないこと。

単純承認に該当する行為を行ってしまうと、

相続放棄をすることができなくなってしまうからです。

 

【被相続人の財産から支払う場合】

被相続人(亡くなった方)の財産(遺産)から支払ってしまうと、

被相続人の財産を処分したことになってしまうので、

「単純承認」に該当する可能性が高いと言えます。

 

【相続人の財産から支払う場合】

相続人の財産から支払う場合には、被相続人の財産を処分したことには

ならないので、「単純承認」に該当しません。

 

【相続放棄が受理された場合】

相続放棄をすると、被相続人契約の光熱費の未払い分について支払う

義務はなくなります。

ただ、「日常家事債務」に該当する場合には、注意が必要です。

例えば、相続人が被相続人の配偶者で、同居していた場合、

未払いの光熱費は日常家事債務として、相続人自身の債務をして支払う

必要が生じてきます。

このように日常家事債務として連帯債務を負うものについては、

相続放棄をしても支払い義務がありますので、注意が必要です。

 

202212 クリスマス飾りつけ.jpg

先日、名古屋に行った際、某デパートの入口にクリスマスの飾り付けが。

三重県内でもクリスマスの飾り付けを見かけるようになり、

季節を感じますね。



前へ 1234567891011