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ようこそ、弁護士 田中 三貴(たなか みき)のブログへ

日々思ったこと、皆様のお役にたてる情報などを書いていきたいと思います。

お時間のある時に、覗いてくださいね。


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普通養子縁組・離縁について

離婚・再婚が増えてきた中で、

婚姻相手の子と養子縁組する方は少なくないかと思います。

そのまま、夫婦が離婚することなく円満にいけばよいのですが、

離婚してしまうケースもあります。

その際、いわゆる連れ子と養子縁組していた場合、

離婚時に養子縁組を離縁しておかなければ、

配偶者と離婚したとしても、その子との養親子関係は継続します。

 

養親子関係が係属すると、養育費を支払う義務が残りますし、

仮に亡くなった場合には相続が発生することになります。

 

そこで、離縁を望んだ場合、どのような手続きなどが

必要になるのでしょうか。

まず、協議の話し合いができるのであれば、

養親子間で協議離縁をすることができます。

協議が整わない場合、家庭裁判所に離縁調停を申し立てることとなります。

調停が成立しない場合、離縁の裁判を提起することとなります。

 

裁判で離縁が認められるためには、

民法で定められた以下の離縁原因に該当することが必要となります。

<離縁原因>

1 他の一方から悪意で遺棄されたとき

2 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき

3 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき

 

裁判での離縁を認めた具体例としては、以下のような場合があります。

「養親の承諾を得ないまま勝手に養親名義の信託預金証書を

 持ち出して処分したり、土地の持ち分を処分したりして養親の不信感を

 助長増大させた養子に対し、養親からの離縁請求を認めた」ケース

「養子の結婚に頑なに反対し、その夫となるべき者の勤務先や実家を訪れ

 結婚を訴外するなどの行動を取り続けた養親に対し、

 養子からの離縁請求を認めた」ケース

 

202005 津市・ローズガーデン.JPG

津市内にあるローズガーデンが見頃です



民事執行法の改正(養育費関連)

「離婚するときに養育費について決めたのに、支払われない。

どうしたよいのか。」と相談いただくことがあります。

これまで、弁護士であっても、人の勤務先まで特定することは難しいので、

勤務先が分からなかった場合は給与差押もできず、

差押しても実効性に欠けたこともありました。

今般、民事執行法が改正され、

養育費の回収可能性が高まるのではないかと期待されています。

債務者以外の第三者からの情報取得手続きが設けられ、

要件を満たす必要があるものの、同手続きを取ることにより、

市町村等から給与債権(勤務先)に関する情報を

取得できるようになりました。

また、金融機関から、預貯金債権等に関する情報を

取得できるようになりました。

要件を満たす必要はあるものの、

これまで取得できなかった情報を取得できるようになった点に

メリットがあるのではないでしょうか。

 

上記のように、養育費が支払われない場合には、強制執行等を行い、

改正によって新設された手続きを利用することを検討せざるを得ません。

ただ、やはり、養育費について、

任意に支払われるのが一番良いのは当然ですよね。

 

202004桜.JPG

新型コロナのため自粛。

近隣で咲いていた桜を撮影。



被用者の使用者に対する逆求償の可否

業員が業務を行うにあたり、第三者に対し損害を与えた場合、

従業員が当該第三者に損害賠償責任を負うことはもちろん、

会社も使用者責任を負うことがあります。

この使用者責任は民法715条に規定されています。

そして、会社が第三者に賠償した後、

従業員に相当の負担を求めることができる「求償」が認められています。

 

これに対して、従業員が第三者に対し損害賠償を行った場合の

会社に対する求償権の行使、

「逆求償」については、条文上規定がありません。

勤務中に交通事故を起こして被害者側に損害賠償した従業員が、

会社に対して「逆求償」できるか争われた案件に関し、

令和2年2月28日、最高裁判所が以下のとおり判断を行いました。

『使用者責任の趣旨からすれば、使用者は、その事業の執行により

損害を被った第三者に対する関係において恩外賠償義務を負うのみならず、

被用者との関係においても、損害の全部又は一部について負担すべき

場合があると解すべきである。』

『被用者が使用者の事業の執行にについて第三者に損害を加え、

その損害を賠償した場合には、被用者は、上記諸般の事情に照らし、

損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について、

使用者に対して求償することができるものと解すべきである。』

 

202002 飲食店にて.JPG

 

交通事故と言えば、本日の朝刊に、今年に入って三重県内の交通死亡事故が

増えているとのことです。

交通事故には気を付けたいものです。



犯罪被害者支援に関する研修会

昨日は、三重弁護士会で行われた「被害者を傷つけない傾聴の仕方」と

題する研修会に行ってきました。

講師は、臨床心理士の先生でした。

 

犯罪被害者等の現状という項目に挙げられたのが、

・精神的苦痛

  急性ストレス障害(ASD)

  心的外傷後ストレス障害(PTSD)

  強い自責感、無力感、自分は被害に遭うに値する価値のない人間

・経済的苦痛

・刑事司法は被害者を軽視

・警察・裁判所・マスコミ・地域社会からの二次被害

・加害者等からの再被害 など

 

弁護士への相談が二次被害に当たらないように注意をしなければなりません。

(もちろん、他にも注意すべき点はありますが、

相談段階では何よりもこの点ではないでしょうか。)

そのため、事件後に被害者や遺族が受けるストレス障害といった項目の

説明については勉強になりました。

 

また、カウンセリングに関する項目もありました。

カウンセラーの方のようになるのは、難しいな、というのが正直な実感でした。

カウンセリングの知識を得たとしても、中途半端になってしまうのではないか、

ということ。

そして、感じたのは、役割の違いについて。

カウンセラーの方のようにはなれない分、

弁護士としての役割をしっかり果たさなければならないと痛感。

 

20200124坊っちゃん列車.JPG

写真は先日行った松山で撮影。

町中を坊っちゃん列車が走っていました。

乗れなくて残念。



日弁連犯罪被害者支援全国経験交流集会

先週の金曜日、松山において、

犯罪被害者支援全国経験交流集会が開催されましたので、行ってきました。

 

第1部は、「親権者喪失事件における支援活動」に関する事例報告。

第2部は、「私の被害、そして加害者との対話へ」をテーマとした基調講演。

第3部は、パネルディスカッション。

 

第1部の事例報告では、未成年後見申立から損害賠償命令申立に関し、

時間が限られている中でどのように弁護士が活動していったのか、

損害賠償命令申立てを間に合わせたのか、といった報告があり、

非常に参考になりました。

 

また、第2部の基調講演は、正直、言葉にならないものを感じました。

印象に残っている言葉はたくさんあります。

被害後、赤信号と青信号といった信号の色に気づかなくなっており、

モノクロの住人となっていました。との「モノクロの住人」という言葉。

また、講演者はリストカットを繰り返したそうです。

そのリストカットを繰り返した理由が本当につらいものでした。

リストカットをすると赤い血が流れる。

赤い血を見て、まだ人間なんだと思えるから、というもの。

 

集会後、ホテルの部屋で一人いろいろ考えさせられました。

ホテルの部屋で仕事をしようと思っていたのですが、

それも手につかないほど。

 

翌土曜日は、委員会に出席。

 

20200124松山市内.JPG

松山といえば、「みかん」ですね。

ホットみかんジュースというのが売っていたので、初めて飲んでみました。

酸味が飛んでいるのか、飲みやすくて、美味しかったです。

気に入ってしまい、金曜日土曜日と続けて飲んでしまいましたcoldsweats01

町中の自動販売機もみかんのキャラクターが!



エイジハラスメント

ハラスメントに関する言葉はいろいろありますね。

今年の2月のブログでは、カスタマーハラスメント(カスハラ)について

書いてみました。

 

そもそも、ハラスメントとは、他人の何かを差別して、それに対し、

意識的または無意識に不快感を与えたり、

困らせる言動のことなどを言います。

 

エイジハラスメントは、数年前にドラマにもなったようなので、

知っている方もいらっしゃると思いますが、

エイジ、すなわち、年齢を差別して行うハラスメントのことです。

年齢差別や嫌がらせのことを言います。

このエイジハラスメントの特徴の1つは、他のハラスメントと異なり、

年齢が上でも下でも、男性でも女性でも、

全員がこのハラスメントの被害者にも加害者にもなりうることです。

 

例えば、若い20代ぐらいの社員に対し、

「若い子は何も分かっていない。できない。」と言ってみたり、逆に、

上の年齢に対し、「40(歳)超えたら使いものにならない」

「40歳不要説」「昔なら40(歳)超えたら姥捨山に捨てられていた」などと

40歳(以上)という年齢を差別して行うのであれば、

これらもエイジハラスメントに該当するのではないでしょうか。

ハラスメントは、不快感を露わにしても、差別発言を続けられることも。

そうなると、相手に不快感を与えるだけにとどまりません。

人の仕事に対する意欲を低下させたり、心を折ってしまいますよね。

精神的にかなりダメージを与えてしまいます。

 

ハラスメントは、意識的または無意識に行われてしまいます。

なので、私も気を付けていきたいと思います。

弁護士として、パワハラやセクハラの相談を受けることもあります。

相談を受ける側の弁護士がハラスメント行為を指摘されることは

避けたいですしね。

 

2019半田駅前.JPG

先日出かけた先の駅前にあったポストです。

新美南吉の「ごんぎつね」や「手袋を買いに」など小学生時代に

読んだことを思い出し、懐かしい気分になりました。



養育費・婚姻費用の算定

昨日、養育費・婚姻費用の算定に関する実証的研究が公表されました。

 

http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

 

早速、プリントアウトしてみました。

年末年始にでも、従前のものと比べてみようかと思います。

 

2019ミッドランドのクリスマス.JPG



養育費・算定見直し

夫婦が離婚する際の養育費や、別居の際の婚姻費用について、

その算定方法が見直されることになりました。

12月23日公表されるそうです。

現在の算定方法では、

養育費や婚姻費用が低額ではないかとの批判がありました。

そこで、日本弁護士連合会としては、

新たな算定方式を独自に発表していました。

が、現在の調停等では用いられていませんでした。

(私が代理人として関わった案件では使用しないと言われました。)

ところが、今回は、司法研修所が公表するということで、

どのように見直されるのか興味深いものがあります。

夫婦の収入によっては、現状と変わらないケースもあるようですが、

増額されるケースもあるようです。

 

ただ、養育費などは、取り決めをしても、支払われないケースもあります。

実際、そのような相談を受けることもあります。

ですので、養育費が増えたとしても、支払われなければ、

そもそも意味がないのでは?と思うことも。

また、支払う側の相談であったのは、

年収ベースではそれなりの収入があるように見えるのですが、

実際はボーナスが多いため年収が多くなっているにすぎず、

月収はそれほど多くないといったケースもあります。

その場合であっても、年収で算定されると、毎月の支払いが困難で、

自分の生活が成り立たないといった主張をされたこともあります。

そうすると、どうしても、支払いを滞納してしまうこともあるようです。

養育費の増額は子育てをしている親からすれば、

ありがたいことだとは思います。

あとは、それがきちんと支払われるかが問題となりますね。

 

あと、債務整理案件も受任しているので、注意していただきたい点が。

自己破産をしても、養育費は免責されませんので注意が必要です。

 

2019名古屋タカシマヤのクリスマス.JPG

先日出かけた先のディスプレイです。

もうこんな時期なんですね。



車の横断歩道停止,三重県が全国最下位

先日の新聞記事によれば、

信号のない横断歩道を歩行者が渡ろうとした際に一時停止するドライバーが

県内では3.4%にとどまったとのJAFの調査結果が公表されました。

都道府県別にみれば、三重県は、47位で最下位です。

トップの県では68.6%とのことなので、3.4%との差は歴然としていますね。

なお、全国平均は17.1%だそうですが、この数字ともかなり差がありますね。

 

信号のない横断歩道で歩行者を優先することは

法的にも義務付けられているものです。

違反した場合、交通反則切符を交付され、反則金も科せられます。

 

私も先日松阪駅事務所で打ち合わせを終え、駅に向かう途中、

横断歩道を渡っているにもかかわらず、目の前を車が横切っていきました。

私はすでに横断歩道の半分ぐらいまで進んでおり、また、

曲がってくる車両(私の前を横切った車両)の運転手と

目が合っていたにもかかわらず、その運転者は停止することもなく、

曲がってきて私の目の前を通過していったのです。

このようなことは、正直、何度も経験しています。

ですので、上記JAFの結果も、頷けるのかもしれません。

 

今年の6月から県警が、

毎月11日を「横断歩道“SOS(さわやかな横断でスマイル”の日)と定め、

対策に乗り出したそうです。

当該対策が浸透し、一時停止するドライバーが増えることを願いつつ…。

 

20191018岐阜・ハロウィン.JPG



日弁連・犯罪被害者支援委員会

先週は、日弁連の犯罪被害者支援委員会に出席してきました。

予定がかぶったりして、三重弁護士会館からテレビ会議の形で

出席することの方が多いのですが、今回は東京まで行くことができました。

テレビ会議だと、音が聞き取りにくかったりすることが多々あるのですが、

今回はそのようなこともなく。

今回の委員会では、途中、刺激証拠に関する勉強会がありました。

被害者の遺体写真などショックを受けやすい証拠を

裁判員裁判においてどう扱うのか、賛否が分かれています。

平成25年強盗殺人事件の裁判員を務めた女性が、

遺体写真などを見せられた後PTSDになったとして

国に損害賠償を求める訴訟を起こしました。

確かに、普段そのような写真を見ることがない方にとっては、

かなりの精神的ダメージを受けることは否定できないかと思います。

そして、上記訴訟をきっかけ(?)に、

裁判所が刺激証拠の採用を避ける傾向が強まっていると言われています。

今年の2月、検事総長が、法務省で開かれた検察庁間合同の訓示において、

刺激証拠の採用が避けられる傾向にあることを指摘したうえで、

必要な場合には証拠採用されるよう努力することを求めました。

このような流れを受けての勉強会でした。

現状、遺体や現場の写真はイラストなどに置き換えられているケースが

多いといった報告もあり、真実を見ずに事実認定や量刑判断ができるのか?

といった疑問が呈されました。

裁判員の方にとって、遺体の写真などは確かに精神的にかなりダメージを

受けるものであると言えますが、

一方で、正確な事実認定のためにはイラストなどではなく事実を映した

写真の証拠採用も大切かとも思いますし、難しい問題ですね。

 

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事務所へのお土産にスイーツを購入



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