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遺言書が複数枚出てきた場合どうなる?

被相続人が亡くなり、その後、遺言書が何通も発見された場合、

どれが有効ですか?と聞かれることがあります。

遺言書は何通でも作成することができます。

それぞれの遺言書が要件を備えていれば、

遺言書としては、いずれも有効となります。

ですので、複数の遺言書が存在し、そのいずれもが要件を満たしている場合、

遺言書そのものの有効無効の問題ではなく、

いずれが優先するのかが問題となってきます。

 

①遺言書の内容が被らない場合

 例えば、前に作成した遺言書では預貯金の割り振りについて記載され、

 のちに作成した遺言書では不動産の割り振りについて記載された

 遺言書であった場合。

 これらの場合は、遺言書の内容が被らないため、いずれの遺言書も

 有効となります。

 

②遺言書の内容が被る場合

 例えば、前に作成した遺言書では、「自宅不動産については、

 Aに相続させる」と記載されていたにもかかわらず、

 のちに作成した遺言書では「自宅不動産については、Bに相続させる」

 と記載されていた場合

 このように、遺言書の内容が被り、相続させる者が異なるなどの場合には、

 優先関係が問題となってきます。

 

遺言書の内容が被り異なる場合には、遺言書の作成された日付を

確認することが必要です。

遺言者本人の最後の意思を尊重するものとして、

日付が最新のものが優先されることとなります。

遺言者が、前の遺言書をのちに作成した遺言書で取り消したものと

考えるものとされています。

そのため、のちに作成された遺言書が優先され、

上述の場合には、自宅不動産はBが相続することとなります。

 

また、複数の遺言書のうち、公正証書遺言と自筆証書遺言が混在していた

場合であっても、日付で優先関係を判断します。

一見すると、公正証書遺言の方が厳格に作成されており、

公正証書遺言の方が優先するようにも思われがちです。

しかしながら、いずれも遺言書であることに変わりはなく、

形式によって優劣が決することはありません。

そのため、形式が異なる遺言書であっても、

日付で優劣関係を決することになります。

 

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三重県でも急に暑くなりました。

先月半ば頃はアジサイがきれいに咲いていたのに、あっという間に気温が上昇