刑事裁判・控訴審判決宣告期日への出頭義務
刑事訴訟法第390条は、
「控訴審においては、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。
ただし、裁判所は五十万円以下の罰金又は科料に当たる事件以外の事件に
ついて、被告人の出頭がその権利の保護のため重要であると認めるときは、
被告人の出頭を命ずることができる。」と定めています。
そのため、第一審の時とは異なり、
被告人は、控訴審の期日へ出頭する義務はありませんし、
実際、保釈中の被告人が控訴審の期日に出頭しないことはありました。
しかし、被告人が判決期日に出頭しないと、様々な問題も生じました。
そこで、令和5年5月に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律により、
制度が変わりました。
刑事訴訟法390条の2が設けられました。
同条は、「…、控訴裁判所は、拘禁刑以上の刑に当たる罪で起訴されている
被告人であって、保釈又は勾留の執行停止をされているものについては、
判決を宣告する公判期日への出頭を命じなければならない。
ただし、重い疾病又は傷害その他やむを得ない事由により被告人が
当該公判期日に出頭することが困難であると認めるときは、
この限りでない。」と定めています。
つまり、重い疾病や傷害などの事由がない限り、保釈されている被告人は、
控訴審の判決宣告期日に出頭する義務が課せられることとなったのです。
実際、法改正後の刑事裁判の控訴審の際、
裁判所から控訴期限等の書類が届いた際、注意書きとして、
判決期日への出頭義務が記載された用紙が同封されていました。
法改正の前、控訴審の際、「控訴審は出頭しなくても構わない」と説明
してきましたが、これからは「判決期日には必ず出頭するように!」と
説明しなければ弁護過誤に問われかねません。
写真は先月県外の裁判所に出廷した際に裁判所近くで撮影したものです。
裁判所は、市役所や城跡近くに建てられていることが多いですよね。
三重県内でも、津地裁や四日市支部、伊勢支部などは市役所や城跡近くにあります。
- 次の記事へ:破産手続きにおける債権者平等原則とは?
- 前の記事へ:大麻使用罪