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特別養子縁組制度の見直し(その2)

見直しのポイント

 1)特別養子制度の対象年齢の拡大

 2)家庭裁判所の手続きを合理化して,養親候補者の負担軽減

 

1)養子候補者の上限年齢の引き上げ等

  現行制度では,原則として,特別養子縁組の成立の審判申立て時に

  6歳未満であることとされていました。

  例外として,6歳に達する前から養親候補者が引き続き

  養育している場合には,8歳未満まで可とされていました。

  この現行制度のままですと,年長の児童について,

  特別養子縁組を利用することができませんでした。

 

  そこで,改正民法では,養子候補者の上限年齢を

  以下のとおり引き上げることになりました。

  原則として,審判申立時に15歳未満であること。

  例外として,①15歳に達する前から養親候補者が引き続き養育,

  ②やむを得ない事由により15歳までに申立てできなかった,

  場合には,15歳以上でも可とされました。

  ただし,審判確定時に18歳に達している者については縁組は不可。

  また,養子候補者が審判時に15歳に達している場合には,

  その者の同意が必要とされました。

 

2)特別養子縁組の成立の手続きの見直し

  現行制度のもとでは,審判申立てから審判まで1個の手続きとされ,

  ①実親による養育が著しく困難または不適当であること等,

  ②実親の同意(審判確定まで撤回OK)の有無等,

  ③養親子のマッチング(養親の養育能力,相性など)

  が審理対象とされてきました。

  しかし,現行制度によると,実親による同意の撤回に対する不安を

  抱きながら試験養育をしなければならないと言った精神的負担など,

  養親候補者に対する負担が大きいものがありました。

  そこで,改正民法では,2段階の手続きを導入することになりました。

  1)実親による養育状況および実親の同意の有無等を判断する審判

                  (特別養子適格の確認の審判)

  2)養親子のマッチングを判断する審判(特別養子縁組の成立の審判)

  これにより,養親候補者は第1段階の審判における裁判所の判断が

  確定した後に試験養育をすることができるようになりますし,

  また,第1段階で実親が裁判所の期日等でした同意は,

  2週間経過後は撤回ができなくなります。

  そうすることにより,養親候補者は,実親による同意の撤回の不安を

  抱くことなく試験養育ができることとなります。

 

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