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相続法改正

先日、所内で、相続法改正に関する勉強会がありました。

 

1)配偶者居住権

  一定の要件を満たす場合には、基本的には終身の間、

  生存配偶者に居住建物に継続して住み続ける権利を認めることに。

  

2)配偶者短期居住権

  改正法は、配偶者が相続開始の時に被相続人の建物を

  無償で使用していた場合には、遺産分割によりその建物の帰属が

  確定するまでの間、無償でその建物を使用できるものとし、

  短期居住権を権利として規定した。

  これまででも、最高裁平成8年12月17日判決が、

  「共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て

  遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、

  特段の事情がない限り、被相続人と右同居の相続人との間において、

  被相続人が死亡し相続が開始した後も、

  遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、

  引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の

  合意があったものと推認される。」としていました。

  改正法では、明記した形となります。

 

 3)自筆証書遺言の方式緩和

   これまでは、遺言者が、その全文を自書し、

   押印することを求めてきました。

   改正法では、財産目録に限り、自書を求めないこととしました。

 

 4)遺留分制度の見直し

  遺留分権利者は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いのみを

  請求することができるようになりました。

  これに伴い、遺留分減殺請求権は、

  遺留分侵害額請求権と呼ばれることになるようです。

 

5)相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

  相続人以外の者(親族に限る)の貢献を考慮するため、

  特別寄与の制度を設けた。

  要件は、

  ①被相続人の親族

  ②被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたこと

  ③被相続人の財産の維持又は増加についての特別の寄与をしたこと

 

改正法はすでに平成30年7月13日に公布されており、

1年以内に施行されます。

なお、自筆証書遺言の方式緩和については、

平成31年1月13日に施行され、

配偶者居住権(短期居住権を含む)については、

公布の日から2年以内に施行されます。

 

相続法の改正は実務的にも大切ですし(普段取り扱う分野に関連しますし)、

もう一度勉強しなければいけませんね。

 

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