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刑の一部執行猶予制度・初の判決

本日、覚せい剤取締法違反事件において、昨日から始まった制度である、

「刑の一部執行猶予制度」に基づく判決が出されたそうです。

 

今回の判決では、

懲役2年、うち6月について保護観察付き執行猶予2年とされたそうです。

この判決によれば、刑務所で1年6月間受刑し、その後、

釈放されて保護観察を受けながら、(取り消されることなく)2年を経過すれば、

1年6月の懲役刑に減刑されることになります。

刑務所で受刑する期間が6月分短くなるということです。

 

この制度は、施設内処遇と社会内処遇の有機的連携を通じた再犯防止を

目的に設けられたものです。

 

要件としても、以下のとおりです。

1 刑法上の一部執行猶予制度

 ア 前科要件

  ・前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者 

  ・前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、

  その刑の全部の執行を猶予された者

  ・前に禁錮以上の刑に処されたことがあっても、その執行が終わった日

  又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に

  処せられたことがない者

 ※全部執行猶予中の者が一部執行猶予判決を受けた場合、

  全部執行猶予判決は必要的に取消しとなることに注意が必要。

 イ 再犯防止のための必要性・相当性

   「犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、

   再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、

   相当であると認められるとき」

 ウ 刑期・猶予期間

  ・刑期;3年以下の懲役または禁錮

  ・猶予期間;1年以上5年以下

 エ 保護観察

   猶予期間中の保護観察に付するかどうかは任意

2 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律

   ※ 前科要件がなく、対象犯罪については、何度でも適用可能

   ※ 保護観察が必要的

   ※ 薬物防止に関する専門的処遇プログラム(簡易薬物検査を含む)

    が義務付けられる

 

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