従業員等の退職後の競業避止義務
今日は、タイトルのテーマにつき、
当事務所所属の弁護士と勉強会を行いました。
従業員関しては、
雇用契約に付随する義務として使用者に対する誠実義務を負うため、
在職中においては競業避止義務が課され、
それに違反すれば、懲戒がなされることがあります。
これに対して、退職した場合においても、
(元)従業員が競業避止義務を負うのか否かについては争いがあります。
この点、
従業員等が退職後に使用者と競業する行為をしてはならないとの
一般的な社会通念、慣行等は存在しないこと、
及び、
競業避止義務が退職者の職業選択の自由、
営業の自由を制限する重大な内容であることなどから、
雇用契約等自体から競業避止義務は当然には発生しないと
考えることができます。
そこで、退職者が使用者に対して退職後の競業避止義務を負うかは、
個別の合意、または、就業規則による定めが必要であると言えます。
ただ、注意すべきは、合意が無条件に有効となるわけではありません。
たとえば、
期間及び区域を限定し、かつ営業の種類を特定して競業を禁止する契約は、
一般的には、公序良俗に違反して無効となるものではないと言えます。
合意等の有効性を判断する要素として、
以下の項目等を個別的に検討する必要があります。
1)使用者の利益
2)退職者の地位
3)期間、地域、業務内容・対象の制限範囲
4)代償措置
5)その他