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贈与とその撤回

 先日、事務員さんから「贈与」に関する質問を受けのたをきっかけに、

弁護士と事務員さん数名で、贈与に関する話をしました。

今回は、「贈与」に関して、ここに記載したいと思いますpencil

 

通常、贈与とは「ただでものをあげること」といいます。

ただ、民法上は、「贈与の当事者同士が贈与契約を交わすこと」をいいます。

簡単に言えば、一方が自分の財産を相手方に「ただであげますよ」といい、

相手方が「はい、いただきます」といってはじめて成立するわけです。

つまり、口約束だけでも贈与契約は成立します。

書面を作成していなくても契約が成立するのです。

 

民法には、贈与契約を撤回する規定として、以下の規定が設けられています。

「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。

ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」

この規定を裏返せば、書面による贈与(書面の形式は問いません。)については、

一方的には撤回することができないということになります。

 

また、書面によらない贈与についても、

制約なく撤回することができるわけではありません。

「ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」

という条文の文言がポイントとなります。

簡単に言えば、「履行の終わった部分」つまり、

実際にものをあげてしまった場合には、

もはや撤回をすることができない、取り戻せないということです。

たとえば、動産(不動産以外のもの)はもちろんですが、

不動産の場合も、引き渡した場合には、

「履行の終わった」と言えることにもなります。

また、不動産の場合、実際に引渡しがなくても、

移転登記があれば履行を終わったものとするという判例があります。

 

このように「履行の終わった」といえるかどうかについては、

個別具体的に考える必要がありますね。

 

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